芳辞 · 楚辞を読む

思忠

王褒

星宿と目覚めの思い

この篇には、まだ人による朗読録音がありません。

登九灵兮游神,静女歌兮微晨。

九霊に登りて神を游ばしめ、静女微晨に歌ふ。

私は九重の天に登って魂を遊ばせ、神女の静女はほの明るい夜明けに歌う。

悲皇丘兮积葛,众体错兮交纷。

皇丘の葛を積むを悲しむ、衆体錯はりて交紛す。

美しい大きな丘に葛がうずたかく茂るのを悲しむ。数多くの蔓が入り組んで絡み合い、乱れ茂っている。

贞枝抑兮枯槁,枉车登兮庆云。

貞枝抑へられて枯槁し、枉は車にて慶雲に登る。

まっすぐな枝は押さえつけられて枯れしぼみ、曲がった枝は車に満載されて尊い慶雲の高みへ登っていく。

感余志兮惨栗,心怆怆兮自怜。

余が志を感ぜしめて惨慄し、心愴愴として自ら憐れむ。

これがわが心を揺さぶって痛ましく震えさせ、胸は悲しみに満ちて自分を憐れむ。

驾玄螭兮北征,曏吾路兮葱岭。

玄螭に駕して北に征き、吾が路を葱嶺に嚮く。

黒い角なしの龍、玄螭を車につけて北へ進み、わが道を高くそびえる葱嶺へと向ける。

连五宿兮建旄,扬氛气兮为旌。

五宿を連ねて旄を建て、氛気を揚げて旌と為す。

五方の星宿をつなげて旄の旗を立て、雲気を巻き上げて旌の旗とする。

历广漠兮驰骛,览中国兮冥冥。

広漠を歴て馳騖し、中国を覧れば冥冥たり。

広い荒野を越えて駆けめぐり、中原の国々を見おろせば一面に暗い。

玄武步兮水母,与吾期兮南荣。

玄武水母と歩み、吾と南栄に期す。

神亀の玄武と水の神の水母が付き従って歩み、私と常緑の南方で会うことを約束する。

登华盖兮乘阳,聊逍遥兮播光。

華蓋に登りて陽に乗り、聊か逍遥して光を播く。

華蓋星に登って陽の気に乗り、しばらくのびのびと遊びながら光を散らす。

抽库娄兮酌醴,援瓟瓜兮接粮。

庫婁を抽きて醴を酌み、瓟瓜を援きて粮に接ぐ。

庫婁星を引き抜いて酒器とし甘酒を酌み、瓟瓜星を引き寄せて食糧の足しにする。

毕休息兮远逝,发玉軔兮西行。

休息を畢へて遠く逝き、玉軔を発して西に行く。

休息を終えてまた遠くへ旅立ち、玉の車止めを外して車を西へと走らせる。

惟时俗兮疾正,弗可久兮此方。

惟れ時俗正を疾む、此の方に久しくすべからず。

ただ世の人々が正しさを憎むために、この土地に長くとどまることはできない。

寤辟摽兮永思,心怫郁兮内伤。

寤めて辟摽し永く思ひ、心怫鬱として内に傷む。

目覚めて胸を打ち足を踏み鳴らしながら長く思い悩み、心は憤りに鬱屈して内に痛む。

辞意のまとめ

星辰の壮麗さは、心志の落ち着き所を見つけてはくれない。