芳辞 · 楚辞を読む

匡機

王褒

芳しい宮と述べがたさ

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极运兮不中,来将屈兮困穷。

極運して中らず、来は将に屈して困窮せんとす。

私は奔走して君主を求めたが時運に合わず、これからは身を屈して退き、困窮と愁いのうちに過ごすことになるだろう。

余深愍兮惨怛,愿一列兮无从。

余深く愍みて惨怛し、一たび列ねむと願へども従ふ無し。

私は心の奥で深く憂い、刃で切られるように痛む。一度だけ忠言を陳べたいと願うが、それを通す道がない。

乘日月兮上征,顾游心兮鄗酆。

日月に乗りて上り征き、顧みて心を鄗酆に遊ばしむ。

日と月に乗って天の宮廷へと昇りながら、振り返って心を周の旧都である鄗と酆に寄せる。

弥览兮九隅,彷徨兮兰宫。

九隅を弥く覧、蘭宮に彷徨す。

九州の隅々まで広く見わたし、蘭の香る宮殿のなかをさまよい歩く。

芷闾兮药房,奋摇兮众芳。

芷の閭、薬の房、衆芳奮ひ揺る。

白芷がめぐる門、白薬がとり巻く部屋。数多くの香草が奮い立って揺れ動く。

菌阁兮蕙楼,观道兮从横。

菌の閣、蕙の楼、道の従横なるを観る。

菌桂で造った楼閣、蕙草で造った高楼。縦横に走る道が見わたせる。

宝金兮委积,美玉兮盈堂。

宝金委積し、美玉堂に盈つ。

貴い黄金が山のように積み上げられ、美しい玉が広間に満ちている。

桂水兮潺湲,扬流兮洋洋。

桂水潺湲として、揚がる流れ洋洋たり。

桂の林を流れる水はさらさらと音を立て、高くあがる流れは広々と広がっていく。

蓍蔡兮踊跃,孔鹤兮回翔。

蓍蔡踊躍し、孔鶴回翔す。

老いた神亀の蔡は喜んで跳びはね、孔雀と鶴は旋回しながら飛ぶ。

抚槛兮远望,念君兮不忘。

檻を撫でて遠く望み、君を念ひて忘れず。

手すりに手をかけて遠くを眺め、君主を思って忘れることができない。

怫郁兮莫陈,永怀兮内伤。

怫鬱として陳ぶる莫く、永く懐ひて内に傷む。

忠言は胸に鬱屈して述べる場がなく、長く思いつづけて心の内が痛む。

辞意のまとめ

満堂の豊かさが、一言すら述べられぬことを際立たせる。